「広告にお金をかけた。リードも増えた。なのに、受注は変わらない」
BtoBの企業で、こんな声をよく聞きます。外注先からは、毎月きれいなレポートが届く。表示回数が増えた、クリック率が上がった、リードが何件取れた——数字は確かに動いています。それなのに、売上の手応えがない。
そして、こう思うわけです。「うちは、外注の仕方を間違えたのだろうか」と。
結論から言います。多くの場合、問題は「どの施策を頼んだか」ではありません。「何を、誰に、どう任せて、何で評価するか」の設計が抜けていたことが原因です。この記事では、そこをやさしく整理していきます。
なぜBtoBの外注は、難しくなりやすいのか
BtoBには、成果が見えにくい理由がある
BtoBのマーケティングが外注で難しくなりやすいのには、はっきりした理由があります。
ひとつは、検討期間が長いこと。BtoBの商談は、問い合わせから受注まで数ヶ月かかることが珍しくありません。今月のリードが、売上に変わるのは半年後ということもあります。
もうひとつは、決める人が複数いること。担当者が良いと思っても、上司や別部門、経営層の合意が必要になります。一人の気持ちだけでは話が進みません。
この2つがあるため、「リードが増えた」と「売上が増えた」の間に、大きな時間差とプロセスが横たわります。
上流(リード獲得)が増えても、下流(受注)まで繋がらなければ事業は前に進まない
だから「担当した段だけ」で評価すると、ずれる
外注先は、ファネルのどこか一部を担当します。広告なら「リード獲得」、インサイドセールス代行なら「商談化」というふうに。このとき、担当した段の数字だけで評価すると、判断がずれます。
たとえば広告を任せて「リードが2倍になった」としても、その先の商談化や受注が動かなければ、事業としては前に進んでいません。リードの数は、あくまで途中の数字です。外注先の評価は、担当する段のKPIだけでなく、その次の段にどう影響したかまで含めて見ることが大切です。
まず「何を任せて、何を残すか」を分ける
任せる前に、仕事を2つの軸で分ける
外注で失敗を減らす一番の近道は、任せる前に仕事を仕分けすることです。仕分けの軸は2つ。「専門性が高いか・低いか」と「事業の核(コア)かどうか」です。この2軸で4つに分けると、任せやすい仕事と、社内に残すべき仕事がはっきりします。
専門性 × コア度の2軸で、任せる仕事と社内に残す仕事を分ける
各象限に入る代表的な仕事は、次のとおりです。
| 区分 | 仕事の例 | 任せ方の目安 |
|---|---|---|
| 専門性が高く・ノンコア | SEO・コンテンツ制作、リスティング広告運用、MAツールの設定・運用、ホワイトペーパー制作 | 外注しやすい |
| 専門性が高く・コア | マーケ戦略全体の設計、顧客セグメントの定義、価値提案・メッセージ設計、競合との違いの作り方 | 外部と一緒に考える |
| 専門性が低く・ノンコア | バナー・資料のデザイン、データ集計・レポート作成、LP・Webページの制作、メルマガ配信作業 | 外注できる |
| 専門性が低く・コア | KPI設計・目標設定、市場や競合の情報を社内に取り込むこと、営業部門との連携、お客様の声(VOC)を集めること | 社内に残すのが基本 |
「社内に残す」ものこそ、成果を左右する
ここで一番大事なのは、右下の「社内に残すのが基本」の仕事です。
KPIの設計、市場や競合の理解、営業との連携、お客様の声の収集。これらは、事業を一番よく分かっている社内の人にしかできません。専門性というより、事業理解と社内のつながりが必要な仕事だからです。
ここを「よく分からないから全部外に」としてしまうと、外注先がどんなに優秀でも、向かう方向がずれてしまいます。任せる部分と、握っておく部分。この線引きが、外注の成否を分けます。
支援タイプごとの強みを知る
マーケティングの外部支援には、いくつかのタイプがあります。それぞれ得意なことが違うので、自社の状況に合わせて選ぶことになります。ここでは代表的な4つを、強みと向いている場面で整理します。
コンサルティング
経営戦略に紐づく全体設計や、業界横断の知見、経営層への提言に強みがあります。施策ロードマップを描くところまでが主な役割です。
- 全体設計と戦略の整理に強い
- 経営層への提言ができる
向いている場面
戦略の方向性がまだ定まらず、まず全体像を整理したいとき。実行体制が社内にあると動き出しやすい。
広告代理店
Google広告やSNS広告など、特定の媒体の運用に精通しています。ターゲティングの精度が高く、スピーディに実行できます。
- 媒体運用の精度とスピード
- 短期のリード獲得に強い
向いている場面
短期でリード獲得を強化したいとき。広告予算と事業成果の両方を見る目線を合わせておくと安心。
フリーランス
SEO、コンテンツ、SNS運用など、特定のスキルに強い個人への委託です。コスト効率が高く、柔軟に頼めます。
- コスト効率と柔軟さ
- ピンポイントのスキル
向いている場面
予算が限られ、特定のスキルが欲しいとき。全体設計や長期の継続は依頼の仕方を工夫すると安定する。
伴走型支援
戦略設計から実行・改善まで、ひと続きで担うタイプです。媒体の数字だけでなく、売上・利益といった事業の成果を共通のゴールに置きます。
- 戦略から実行まで一貫
- 事業の成果を共通ゴールに
向いている場面
マーケ体制がこれからの会社や、戦略と実行が分断して悩む会社に。社内に窓口役を一人置けると連携がスムーズ。
どのタイプにも、それぞれの強みがあります。大切なのは「優劣」ではなく「自社の今に、どのタイプが合うか」です。戦略が曖昧ならコンサルの整理力、媒体を伸ばすなら代理店の運用力、特定作業ならフリーランスの機動力。そして「戦略と実行がつながらないのが悩み」なら、両者をひと続きで担う伴走型が合います。
選ぶときに、BtoBで特に効く3つの確認ポイント
任せ先のタイプが見えてきたら、次は具体的に選ぶ番です。支援会社を選ぶときの一般的な確認観点(報告内容・契約条件・相性など)は、別ガイドにチェックリストとしてまとめています。
ここでは、BtoBならではの2つの事情——検討期間が長いことと決める人が複数いること——を踏まえて、特に効く3つの観点に絞ってお伝えします。
BtoBは検討期間が長く、決める人も複数います。BtoCの実績が豊富でも、BtoBの実務経験があるかは別問題です。業界は違ってもBtoBの支援実績があるかを確認します。
確認方法:BtoB案件の事例をいくつか聞いてみる
BtoBは、今月のリードが受注に変わるのは半年後ということもあります。媒体の数字だけでなく、それが商談化や受注、LTVにどうつながるかまで一緒に考えられるか。検討期間の長さを前提に、「リードは増えても商談化しないこともある」と正直に言える相手は、信頼しやすい傾向があります。
確認方法:提案時に、リード以降の指標設計まで踏み込めるかを見る
検討期間が長く、関わる決裁者も多いBtoBでは、事業理解の蓄積が成果を左右します。担当が頻繁に変わると、その理解が毎回リセットされます。「実際に担当するのは誰か」「何社を掛け持つか」「交代の頻度はどのくらいか」を確認します。
確認方法:担当者名と担当社数を具体的に聞く
3つの中でも、特に効くのは 02(リードの先まで見てくれるか) です。検討期間が長いBtoBでは、リード数だけを見ても事業の前進は測れません。商談化・受注までつなげて評価できる相手かどうかが、契約後の成果に直結します。
費用の目安を知る
費用は、任せる範囲によって大きく変わります。あくまで目安ですが、相場感を持っておくと、提案を冷静に比べられます。BtoBでよく検討される支援の目安は、次のとおりです。
| 支援内容 | 費用目安(月額) | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 戦略コンサルのみ | 50〜150万円 | 実行体制はあるが、戦略が定まっていない |
| 広告運用 | 広告費の手数料 10〜20% | 短期でリード獲得を強化したい |
| 運用込み支援(SEO・コンテンツ等) | 30〜100万円 | 中長期で問い合わせの流入を増やしたい |
| インサイドセールス代行 | 30〜100万円 | リードはあるが、商談化できていない |
| 戦略から実行まで(伴走型) | 30〜100万円 | マーケ体制がなく、まとめて任せたい |
※ 上記はあくまで参考値です。支援範囲・担当者のスキル・企業規模によって変動します。種別・規模別の費用の全体像はデジタルマーケティングの費用相場で詳しく整理しています。
よくある質問
施策の前に、体制から
外注の話をしてきましたが、最後にひとつだけ、大切なことをお伝えします。それは、マーケティングの施策には「効く順番」があるということです。
SEOで流入が増えても、入ってきた人に何を見せ、どこへ案内するか(導線)が決まっていなければ、成果につながりません。広告でリードを集めても、その後に関係を育てて商談につなげる受け皿がなければ、集めては逃すの繰り返しになります。
つまり、単発の施策が効くのは、ほかの施策が回り、体制が整っているときです。体制がないまま単発を打つと、走り続けないと止まってしまう、自転車操業のような状態になりがちです。
連鎖のどこか1箇所が切れると、上流をいくら増やしても成果に届かない
だから私たちは、体制から一緒に考えます
私たち AsetZ のマーケティング事業部は、施策を代わりにやるだけの会社ではありません。事業の成果(事業ROI(費用対効果))から逆算して、勝てるマーケティングの体制を設計し、御社の中で自走できるところまで支援することを大切にしています。
媒体の数字(マーケKPI)だけでなく、受注やLTVといった事業の数字まで接続して見る。そのためのデータ分析と、社内のDX・業務改善との連携が、私たちの強みです。
そして、お約束していることがひとつあります。それは、私たちのリソースで全部を抱え込まないことです。御社の社内のリソースを活かしながら進め、社内にマーケティングの文化が残るように支援します。外注の先にある「自走できる状態」を、一緒に目指します。