MARKET RESEARCH

レンタカー業界
市場データ分析

市場規模7,736億円の全体像を、格安5ブランド比較・カーシェアとの棲み分け・FC事業の経済性まで、すべて出典付きで整理しました。データを集めて終わりにせず、利用者のカスタマージャーニーまで読み解いた、AsetZのデータ活用の一例です。

牧野 悠 調査研究 2026年2月時点
レンタカー店舗のカウンターで、利用者に車のキーを手渡しながら笑顔で対応するスタッフと、これから出発する旅行客のイメージ

この記事について

レンタカー業界は、コロナ禍からの回復を経て再び成長フェーズに入りました。2023年の市場規模は7,736億円(前年比8.9%増)。2030年には1兆826億円に達すると予測されています。

ただ、「成長市場だから参入すれば伸びる」という時代は、すでに終わりに近づいています。店舗ネットワークの競争は成熟段階に入り、これからは「どう勝つか」が問われます。

この記事では、レンタカー業界への参入や事業拡大を検討する方に向けて、市場規模の推移、格安レンタカー5ブランドの比較、カーシェアとの関係、業界の課題、FC事業の経済性、そして今後のトレンドまでを、公開データと業界レポートに基づいて整理しました。

すべての数値に出典を明記しています。事業計画や社内資料の根拠としてもお使いいただけます。

補足 本記事のデータは2026年2月時点で公開されている情報に基づいています。最新の数値は各出典元をご確認ください。

なぜマーケティング会社が業界データをまとめるのか

私たちは、データを集めて整理することそのものを仕事にしているわけではありません。集めた数字から「だから、どこを動かせば事業が伸びるのか」を導くのが仕事です。

この記事は、その姿勢を業界データで示す一例です。市場規模や競合の数字を並べるだけでは、事業の判断材料になりません。後半では、データをもとに利用者の行動・感情・接点を時系列で分析し、「どのフェーズに、どんな打ち手が効くか」まで踏み込みます。

01市場規模と成長トレンド

レンタカー市場は、回復を超えて成長局面に入っています。まずは全体像を、時系列の数字で押さえます。

2023年 市場規模
7,736億円
前年比 +8.9%
2030年 市場規模予測
1兆826億円
CAGR 約4.9%
登録車両数(2025年3月末)
116.8万台
リース車両を含む
指標数値補足
2023年 市場規模7,736億円前年比 8.9%増
2030年 市場規模予測1兆826億円年平均成長率(CAGR)約4.9%
登録車両数(2025年3月末)116万8,522台リース車両を含む

セグメント別の市場構成

レンタカー市場は、利用目的によって大きく分かれます。法人向け(出張・営業車・代車)が2,128億円、個人向け(旅行・帰省・引越し)が1,616億円。法人需要が個人需要を上回る構造です。残りはリース・長期レンタルが大きな割合を占めています。

セグメント市場規模構成比(概算)特徴
法人向け(ビジネス)2,128億円約27%出張・営業車・代車需要。安定した継続利用
個人向け(レジャー)1,616億円約21%旅行・帰省・引越し。季節変動が大きい
リース・長期レンタル約3,900億円約50%マンスリー・法人リース。安定収益の柱
その他(インバウンド等)約90億円約1%訪日外国人向け。回復・成長トレンド

市場規模の年次推移

2020年にコロナ禍で市場は大きく縮みましたが、2022年以降は回復を超えて成長に転じています。インバウンド需要の回復、法人利用の増加、格安レンタカーの店舗拡大が成長を牽引しています。

6,800 5,400 5,800 7,104 7,736 10,826 2019 2020 2021 2022 2023 2030(予測) 単位:億円

コロナ禍の谷(2020年)を経て、2022年以降は回復を超えて成長トレンドに転じている

年度市場規模(推定)前年比備考
2019年約6,800億円コロナ前のピーク水準
2020年約5,400億円-20.6%コロナ禍による大幅縮小
2021年約5,800億円+7.4%近場旅行の需要で回復開始
2022年約7,104億円+22.5%行動制限の解除による急回復
2023年約7,736億円+8.9%コロナ前水準を超えて成長
2030年(予測)約1兆826億円CAGR 4.9%MaaS・インバウンドが成長の原動力
出典 MIC リサーチ プレスリリースレンタス コラム記事 ※一部に推定値を含みます

02格安レンタカー市場の競合マップ

格安レンタカー市場は、FC(フランチャイズ)モデルを軸に店舗数を急速に伸ばしてきました。主要5ブランドの比較と顧客評価を整理します。

主要5ブランドの比較

格安レンタカー市場では、中古車を活用した低価格モデルが主流です。各社のポジションは、「店舗数(ネットワーク規模)」「料金体系」「ターゲット顧客」の3つで分かれます。

ブランド名店舗数料金目安運営母体・特徴
ニコニコレンタカー約1,450店12時間 2,525円〜業界最大のFC網。ガソリンスタンド・整備工場を加盟店とする「既存事業者活用型」
カースタレンタカー430〜530店12時間 3,100円〜伊藤忠グループ(伊藤忠エネクス)。ENEOSステーション併設型が多い
ワンズレンタカー約360店1時間 880円〜短時間利用に対応した時間単位の料金。カーシェア的な使い方も可能
ガッツレンタカー約300店24時間 2,000円〜業界最安クラスの料金。長期レンタルにも対応。法人利用にも強み
100円レンタカー270店以上10分 100円〜超短時間利用の独自ポジション。「10分100円」の分かりやすい料金体系
出典 各社公式サイト(2026年2月時点)/ フランチャイズWEBリポート ※店舗数は時期により変動します

顧客満足度で重視されるポイント

オリコンが実施した格安レンタカーの顧客満足度調査では、「コストパフォーマンス」「予約のしやすさ」「車両の状態」などの項目で各社が評価されています。格安レンタカーでは、料金の安さだけでなく「車両の清潔さ」「受付の対応」が満足度を左右する傾向があります。

評価項目重視されるポイント業界全体の傾向
コストパフォーマンス料金の安さと車両品質のバランス全体で高評価。期待値が「安さ」なので達成しやすい
予約のしやすさWebサイトの使いやすさ、空車確認の簡便さ大手に比べ、Web予約システムの完成度にばらつきがある
車両の状態清潔さ、走行距離、年式中古車活用のため個体差が大きい。店舗ごとの管理水準に差が出やすい
スタッフ対応受付の丁寧さ、説明の分かりやすさFC事業のため、加盟店の教育水準がサービス品質に直結する
店舗アクセス立地の便利さ、駐車場の有無GS併設型は既存インフラを活用し、アクセスが良い傾向

ポジショニングの読み解き

各社のポジションは、「ネットワーク規模」と「価格戦略」の2軸で整理できます。

価格が高め 価格が安い 店舗数 多い(大ネットワーク)→ ← 店舗数 少ない ニコニコ 約1,450店 カースタ 商社系・安定 ガッツ 最安クラス 100円 10分単位 ワンズ 1時間単位

横軸=店舗数(ネットワーク規模)、縦軸=価格帯。各社が異なる象限を取りに行っている

ニコニコレンタカーは店舗数の多さで「どこでも借りられる」利便性を武器にしています。ガッツレンタカーは最安価格帯で、価格に敏感な層を取り込んでいます。100円レンタカーは「10分単位」という独自の料金で、カーシェアに近いポジションを確立しました。

注目すべきは、カースタレンタカー(伊藤忠グループ)です。大手商社系の資本力を背景に、ENEOSステーションとの連携で出店を進め、格安の中では比較的高い信頼感と安定したサービス品質を提供しています。

03カーシェアリング市場との比較

カーシェアとレンタカーは競合に見えますが、実態は「利用時間」と「地域」で明確に棲み分けが進んでいます。

カーシェアリング市場の概況

カーシェア市場は急成長を続けています。2023年の会員数は約300万人を突破し、ステーション数は約2万か所に達しました。タイムズカーが市場シェアの約7割を占め、次いでdカーシェア、カレコ・カーシェアリングクラブが続きます。

ただし、カーシェアの利用は都市部に集中しています。地方ではステーション密度が低く、実質的にレンタカーが唯一の選択肢になる地域が多く残っています。

利用時間 → カーシェア優位 15分〜3時間・都市部 競合ゾーン 3〜6時間 レンタカー優位 6時間以上・地方部 0 3h 6h

利用時間と地域による棲み分け。短時間・都市部はカーシェア、長時間・地方部はレンタカーが優位

比較項目レンタカーカーシェア
利用時間の目安6時間以上(半日〜数日)15分〜数時間
主な利用シーン旅行・出張・引越し・長距離移動買い物・通院・ちょい乗り
料金構造時間制(6h/12h/24h単位)分単位課金 + 距離料金
長時間利用のコスト割安(6時間以上はレンタカーが有利)割高(時間に比例して加算)
車両の受け渡し店舗での対面手続き無人ステーション(アプリ解錠)
地方部の利用可否全国対応(FC店舗網が広い)都市部中心(地方は限定的)
車種の選択肢軽〜大型、トラック、特殊車両コンパクト〜中型が中心
インバウンド対応対応が進んでいる(多言語対応)日本在住者向けが中心
出典 各社公式サイト / 船井総研 レンタカー業界レポート

棲み分けの構造

レンタカーとカーシェアの関係は、「どちらが優位か」という二項対立ではありません。利用時間と地域による棲み分けとして捉えるのが正確です。

短時間(3時間以内)の都市部利用ではカーシェアが優位。長時間(6時間以上)または地方での利用ではレンタカーが優位です。3〜6時間帯は両者の競合ゾーンですが、目的(旅行か日常利用か)と車種ニーズ(大型車・トラックなど)によって、自然に振り分けられています。

特に格安レンタカーは、「カーシェアと同等かそれ以下の料金で、より長時間・多様な車種を使える」というポジションを築きつつあります。100円レンタカーの「10分100円」やワンズレンタカーの「1時間880円」は、カーシェアとの価格競争を意識した戦略と考えられます。

04業界が直面する5つの課題

成長市場であるレンタカー業界にも、構造的な課題があります。参入や投資を判断する材料として、主要な5つを整理します。

01
テクノロジー

DX・デジタル化の遅れ

予約・受付・車両管理・顧客管理の各プロセスで、デジタル化が十分に進んでいないケースが多く見られます。特にFC加盟店では、本部のシステムと加盟店の既存業務がつながっておらず、手書きの伝票や電話予約が残る店舗も少なくありません。予約のWeb化、顧客データの一元管理、需要に応じた価格設定(ダイナミックプライシング)などが、今後の改善余地です。

02
人材

人手不足と店舗オペレーション

洗車・点検・配車・返却対応など、店舗運営には多くの人手がかかります。少子高齢化に伴う労働力不足は、特に地方の中小店舗で深刻です。セルフチェックイン・チェックアウトの導入や、AIによるシフトの最適化など、省人化への取り組みが業界全体の課題になっています。

03
コスト

車両調達コストの上昇

半導体不足や原材料価格の高騰で、新車価格は上昇傾向です。中古車市場でも供給不足が続き、格安レンタカーの主力である中古車の調達コストが増えています。調達コストの上昇は利益率の圧迫に直結するため、車両の稼働率向上と適切なライフサイクル管理が、これまで以上に重要になっています。

04
環境対応

EV対応の遅れ

世界のEV販売比率が約22%に達する中、日本のレンタカー業界のEV導入率は1〜3%程度にとどまっています。充電インフラの不足、航続距離への不安、車両コストの高さが主な壁です。一方で、環境意識の高いインバウンド旅行者や、環境対応を求める法人顧客からの需要は増えています。中長期では、EV対応が差別化の要因になると考えられます。

05
品質管理

顧客体験の標準化(FC事業特有の課題)

格安レンタカー市場ではFCモデルが主流ですが、FC特有の課題として「サービス品質のばらつき」があります。加盟店のバックグラウンド(ガソリンスタンド、整備工場、中古車販売店など)が多様なため、接客の質、車両の清潔さ、予約対応の速度に店舗間で差が出やすい構造です。本部によるオペレーションマニュアルの整備、定期的な品質確認、顧客の声を集める仕組みが、ブランド価値を保つうえで重要になります。

出典 船井総研 レンタカー業界レポートレンタス コラム記事 / 各種業界調査レポートを参考に整理

05FC事業モデルの経済性

格安レンタカーFCへの参入を検討する際に押さえておきたい、一般的な加盟条件と収益構造を整理します。

加盟条件の一般的な構造

加盟条件は各社で異なりますが、一般的な費用構造を以下にまとめます。あくまで業界の目安であり、具体的な条件は各FC本部にご確認ください。

費用項目金額目安備考
加盟金50万〜200万円ブランド使用権・ノウハウ提供の対価。一括払い
保証金50万〜100万円解約時に返還されるケースが多い
車両調達費数百万〜1,000万円以上5〜10台程度のスタート在庫。中古車活用が一般的
設備・システム費50万〜200万円予約システム、看板、什器、PCなど
初期費用 合計500万〜1,500万円程度既存事業者(GS・整備工場)は設備費を抑えられることが多い
ランニング費用金額目安備考
ロイヤリティ(固定制)月額3万〜10万円ニコニコレンタカー等に多い。売上に依存せず計画しやすい
ロイヤリティ(歩合制)売上の3〜8%カースタレンタカー等に多い。売上連動でリスク分散型
広告分担金月額1万〜3万円本部の全国広告・Web集客への費用分担
車両維持費1台あたり月額2万〜5万円保険・車検・整備・タイヤなど。台数分が固定費になる
出典 フランチャイズWEBリポート / 各FC本部の公開情報を参考に整理 ※具体的な条件は各社にお問い合わせください

収益モデルの概要

格安レンタカーFCの収益は、車両の稼働率が最も重要な変数です。業界の目安として、稼働率が60%を超えると安定した利益が見込め、50%を下回ると固定費の負担が重くなる傾向があります。

指標一般的な目安備考
1台あたり月間売上8万〜15万円車種・地域・稼働率により大きく変動
車両稼働率(目標)60〜70%曜日・季節で変動。平日の稼働率向上が課題
営業利益率10〜20%既存事業との兼業で固定費を分散できると高くなる
損益分岐までの期間1〜2年立地・集客力・車両台数による

成功店舗と苦戦店舗の違い

FC事業の成否を分ける要因として、業界内で以下のような傾向が指摘されています。

観点成功店舗の傾向苦戦店舗の傾向
既存事業との相乗効果GS・整備工場等の既存顧客基盤を活用レンタカー単体で新規開業
立地駅前・国道沿い・住宅密集地交通量の少ない郊外
平日の稼働対策法人契約・マンスリー契約を積極的に獲得個人の週末利用に依存
Web集客への取り組みGoogleビジネスプロフィールの最適化、口コミ管理を実施本部任せで、自店舗の集客努力が少ない
車両構成地域需要に合わせた車種ミックス(軽中心・ワゴン中心など)画一的な車種構成
出典 フランチャイズWEBリポート船井総研 レンタカー業界レポート ※上記は一般的な傾向の整理であり、個別の成功を保証するものではありません

ここで注目したいのは、成功店舗と苦戦店舗を分ける要因の多くが、「立地」や「資本力」だけでなく、自店舗で集客に取り組めているかにある点です。Googleビジネスプロフィールの最適化や口コミ管理は、本部に任せきりにせず、店舗単位で動かせる打ち手です。後半で触れるとおり、ここがデータで改善できる余地の中心になります。

06今後の注目トレンド

レンタカー業界の今後を左右する4つのトレンドを整理します。中長期の戦略を考えるうえでの参考にしてください。

Trend 01. MaaSとの連携

公共交通・タクシー・カーシェア・レンタカーを、ひとつのアプリで検索・予約・決済するMaaSプラットフォームとの連携が進んでいます。レンタカーは「最後のひと区間」の移動手段として組み込まれることで、これまで届かなかった顧客層(鉄道利用者、インバウンド旅行者など)に広がると考えられます。トヨタの「my route」や観光MaaSの実証実験が、各地で進行中です。

Trend 02. サブスクリプション型

月額定額でレンタカーを使えるサブスクリプションモデルが広がっています。KINTO(トヨタ)やSOMPOで乗ーるなどの大手参入に加え、格安レンタカー各社もマンスリープランを強化しています。「所有から利用へ」の流れの中で、月額5万〜10万円程度の定額利用は、法人の社用車代替や地方の移動手段として、需要が拡大すると見込まれています。

Trend 03. AI・IoTによる配車最適化

需要予測AIによる車両の最適配置、IoTセンサーによるリアルタイムの車両状態の把握、需要に応じた価格設定による収益の最大化など、テクノロジーの活用余地が大きい領域です。大手(トヨタレンタカー、日産レンタカー等)は自社開発を進めていますが、FC系の格安レンタカーはこの分野で遅れています。本部によるシステム提供が、差別化の要因になりつつあります。

Trend 04. インバウンド需要の回復

訪日外国人旅行者数は2024年に3,000万人を突破し、コロナ前の水準を回復しました。レンタカーは地方観光の足として欠かせない存在で、北海道・沖縄・九州ではインバウンドの利用率が高い水準を保っています。多言語対応のWeb予約システム、国際運転免許証への対応、外国語ナビの整備が、今後の競争力を左右すると考えられます。

出典 MIC リサーチ プレスリリース船井総研 レンタカー業界レポート / 各種ニュースソースを参考に整理

07データから、打ち手を導く
── 利用者のカスタマージャーニー分析

ここまで、市場規模・競合・課題・経済性のデータを整理してきました。ただ、これらの数字を並べるだけでは、事業の判断には足りません。

私たちは、集めたデータから「利用者がどう動き、どこでつまずき、どこに打ち手が効くか」を導くところまでを仕事と考えています。以下は、本記事のデータをもとにAsetZが作成した、格安レンタカー利用者のカスタマージャーニーマップの一例です。

観点 01 認知 02 検索・比較 03 予約 04 利用 05 リピート・口コミ
行動 旅行や引越しでレンタカーを検討 「格安レンタカー」で検索・比較 Web予約フォームで日時・車種を選択 店舗で受取、利用後に返却 次回も利用、口コミ・紹介を投稿
接点 Google検索/SNS広告/比較サイト 比較サイト/Googleマップ/口コミサイト 公式サイト/予約アプリ/電話 店舗スタッフ/車両・店内環境/ナビ LINE・メール/Googleマップ口コミ/SNS
感情 必要かも…いくらぐらい? どこが安い?口コミは大丈夫? 簡単に予約できた、意外と安い 車がきれい、スタッフが親切 また使おう、人にも勧めたい
課題(FC本部視点) 認知チャネルの効率測定が難しい 口コミ評価が店舗間でばらつく 予約離脱率が見えていない 顧客体験の標準化が難しい リピート率に加盟店ごとの格差
分析施策 流入チャネル別のCVR分析 GBP評価データの横断分析 予約ファネルの離脱ポイント特定 NPS・顧客満足度のスコアリング LTV分析と再利用促進施策の検証

感情の谷を、どこで埋めるか

利用者の感情は、フェーズごとに上下します。注目すべきは、検索・比較フェーズで感情が最も下がる点です。「どこが安いのか」「口コミは大丈夫か」という不安がピークに達します。

期待・安心 不安 不安の谷 01 認知 02 検索・比較 03 予約 04 利用 05 リピート

検索・比較フェーズで感情が最も下がる。この「不安の谷」をどこで埋めるかが打ち手の起点になる

この「不安の谷」をどこで、どう埋めるか。それを判断するには、感情の動きと、各フェーズの接点・データを突き合わせる必要があります。たとえば検索・比較フェーズなら、Googleビジネスプロフィールの評価データを店舗横断で分析し、口コミの弱い店舗から優先的に手を入れる、といった打ち手が見えてきます。

考察 このジャーニーマップは、プラットフォーム型事業の支援で培った分析フレームワークを、レンタカー業界に当てはめたものです。各フェーズの課題を特定し、データに基づいて施策を立てることが、FC本部や個店の意思決定を速めると、私たちは考えています。

08まとめ ── 成長市場の中で「どう勝つか」

レンタカー市場は、2023年に7,736億円、2030年には1兆円を超えると予測される成長市場です。しかし、「成長市場だから参入すれば儲かる」という時代は終わりつつあります。

格安レンタカー市場では、主要5ブランドが合計2,800店以上を展開し、ネットワーク競争はすでに一定の成熟段階に入っています。今後の成長の原動力は「店舗数の拡大」ではなく、「車両稼働率の向上」「顧客体験の差別化」「テクノロジーの活用」「インバウンド対応」に移っていくと考えられます。

特にFC事業では、本部の集客力やブランド力に頼るだけでなく、加盟店自身がWebマーケティング(Googleビジネスプロフィールの最適化・口コミ管理・SNS活用など)に取り組めるかどうかが、個店の収益を大きく左右する時代に入っています。

そして、ここまで見てきたとおり、その判断のすべてはデータから導けます。市場規模も、競合の動きも、利用者の感情の谷も、数字として把握できれば、「次にどこを動かすか」が見えてきます。データを集めて終わりにせず、事業の打ち手まで結びつける。それが、私たちの考えるデータ活用です。

牧野 悠
株式会社AsetZ 執行役員 / マーケティングDX事業責任者

東証プライム上場の金融機関を経て、株式会社AsetZの執行役員に就任。マーケティングDX戦略の立案から実行、BigQueryを活用したデータ分析まで、売上の最大化に向けた施策を一気通貫で進めています。本記事の分析は、旅行関連プラットフォーム事業の広告戦略・データ分析基盤の構築で蓄積した、業界調査とリサーチの手法に基づいています。

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