数字の限界
ページビューとセッション数は分かる。でも、どこまで読まれたか・どんな順番で見られたかという「行動の質」が見えない。
アクセス数は分かる。なのに「どのコンテンツが本当に効いているのか」は分からない。このよくある詰まりを、外部に頼らない自前の行動データ基盤で解いた、AsetZ自身の取り組みです。スクロール深度・滞在・クリック・遷移という行動の質を、外部サーバーへ送らずブラウザの中で記録します。
アクセス解析の画面を開けば、ページビューもセッション数も直帰率も並んでいます。数字は確かに出ている。それなのに、「次にどのコンテンツへ手をかけるべきか」が決められない。
たとえば、同じ「滞在3分」でも中身はまったく違います。最後まで読み込んだ人と、ページを開いたまま離席していた人。標準的な指標だけでは、この2人を見分けるのが難しいのです。
私たちはこの詰まりを、自社で運営するメディアの現場で何度も感じてきました。そこで、外部のサービスに頼らず、行動の"質"そのものを記録する仕組みを自分たちでつくることにしました。それが、今回ご紹介する行動分析トラッカー(社内では tracker.js と呼んでいます)です。
| プロジェクト種別 | 自社ツール開発(内製) |
|---|---|
| 開発時期 | 2026年 |
| 対象 | 自社運営メディア(複数サイト) |
| 技術スタック | JavaScript(Vanilla) / localStorage / sessionStorage |
| 計測する行動データ | スクロール深度・滞在時間・クリック・セッション内遷移の4種類 |
このページについて。クライアント案件ではなく、AsetZ自身がどんな姿勢でデータと向き合っているかを示す事例です。「データが強み」という言葉を、自分たちの手の動かし方で裏づけるための取り組みです。
きっかけは、派手な要望ではありませんでした。メディアを運営するなかで繰り返し出てきた、地味で切実な3つの「分からない」です。
ページビューとセッション数は分かる。でも、どこまで読まれたか・どんな順番で見られたかという「行動の質」が見えない。
「PVが多い=良い記事」で済ませてしまう。なぜ読まれているのか、読んだ後に何をしたのかが分からない。
どのページから入り、どこを経て、最後にどうなったのか(申し込んだのか、離れたのか)の一連の流れが追えない。
どれも「もっと指標を増やしたい」という話に見えます。けれど、指標を足すだけでは解けない。私たちはそう考えました。
「標準の指標だけでは足りない」という声を、そのまま受け取りませんでした。なぜ足りないと感じるのか、その先に何をしたいのかを掘り下げると、本当の課題が見えてきます。
つまり、足りなかったのは「指標」ではなく「自分たちでデータを持つ仕組み」でした。外部のアナリティクスツールは導入が手軽で便利です。そのうえで、自社にとって本当に大事なデータは自分たちの手元に残しておく。この選択肢を確保しておくことが、判断の土台になると考えました。
私たちが選んだのは、大がかりな基盤ではありません。ブラウザの中で動き、外部サーバーへデータを送らない、軽い計測レイヤー(tracker.js)です。集めたデータは、決まった入口から取り出せるようにし、後からの分析や持ち出しを自由にしました。
ブラウザ内で完結する3層構成
「どこまで読まれたか」を0〜100%の連続値で記録します。さらに25%・50%・75%・100%の通過を別に検知するため、読了の分布まで分かります。
ただの「クリック数」ではなく、「どのセクションの、どの要素を、いつ押したか」を記録します。座標と時刻も一緒に残すので、ヒートマップのような分析の素地になります。
1回の訪問のなかで、どのページをどんな順で見たかを時系列で残します。入口(referrer)から滞在時間まで揃うため、行動の流れを一本の線として追えます。
同じ「滞在3分」でも、中身は違う
標準的な指標では同じ「滞在3分」。スクロール深度を見ると、行動の質はまったく違います。
この取り組みで、スクロール深度・滞在時間・クリック・遷移という4種類の行動データを、外部サーバーへ送ることなくブラウザの中で集められるようになりました。
記録の仕様
| データ種別 | セッション保持 | 外部送信 |
|---|---|---|
| 4 types | 100 sessions | 0 requests |
| スクロール/滞在/クリック/遷移 | ×50ページ/セッション | ブラウザ内で完結 |
できるようになったこと
この設計で守れたこと
集めたデータの見え方(サンプル)
注記:上記のチャートに表示する数値は、仕組みの見え方を示すためのサンプルです。実際の集計値ではありません。
この取り組みから、私たちが大切にしている姿勢が3つ見えてきました。
外部のアナリティクスツールは便利です。導入も手軽で、私たちも活用しています。そのうえで、自社にとって本当に大事なデータは自分たちで持っておく。データの所有権を確保し、必要な指標を自分たちの判断で設計できる状態を残しておくことが、長く効いてきます。
このトラッカーはデータをブラウザの中に保持し、外部サーバーへ送りません。サードパーティCookieの扱いが変わっていくなかで、ユーザーのプライバシーに配慮しながら精度の高い行動データを得る、一つの方向性を示せたと考えています。データの管理権はユーザー側にあり、ブラウザの設定でいつでも消すことができます。
このトラッカーの今の役割は、「正確な生データを、確実に集めて残すこと」に絞っています。スコアリングや見せ方は、次の段階で積み上げていく方針です。最初から作り込むのではなく、まず正確なデータを貯め、その性質を理解してから分析のやり方を設計する。データに沿って手法を育てていく。この順番を、私たちは大切にしています。
このトラッカーは、サイト全体の行動データや資料の読まれ方を見える化していくための土台でもあります。「データが強み」を、自分たちの現場で実際に動く仕組みとして持っておく。その姿勢を、お客様のマーケティング体制づくりにもそのまま持ち込みます。
数字は出ているのに判断できない。その詰まりには、たいてい「何を、どう測るか」という設計の課題が隠れています。
AsetZは、施策を代行するのではなく、お客様の事業成果につながるマーケティングの体制そのものを設計し、社内で自走できる状態まで伴走します。データ分析・基盤づくりを強みに、広告運用・SEO・LINE・LP制作なども一貫して支援しています。現状の課題や体制について、可能な範囲でお聞かせください。無理な営業はいたしませんので、まずはお気軽にお話ししましょう。
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