CASE STUDY

「読まれている深さ」を測る基盤を、
自分たちの手でつくる

アクセス数は分かる。なのに「どのコンテンツが本当に効いているのか」は分からない。このよくある詰まりを、外部に頼らない自前の行動データ基盤で解いた、AsetZ自身の取り組みです。スクロール深度・滞在・クリック・遷移という行動の質を、外部サーバーへ送らずブラウザの中で記録します。

4種類
記録する行動データ
100
保持セッション数
0
外部への送信
自社メディアの画面に向かい、読者がどこまで読んでいるかという行動データを静かに読み解くマーケティング担当者のイメージ
スクロール深度 0–100% 滞在時間 page単位 クリック section別 セッション内遷移 時系列 25% 50% 75% 100% 読了 読了の分布(どこまで読まれたか) 1回の訪問の流れ 入口(referrer) 記事ページ(滞在・スクロール) 最後の行動(申込み/離脱)
OVERVIEW

「数字は出ている。でも、判断できない」

アクセス解析の画面を開けば、ページビューもセッション数も直帰率も並んでいます。数字は確かに出ている。それなのに、「次にどのコンテンツへ手をかけるべきか」が決められない。

たとえば、同じ「滞在3分」でも中身はまったく違います。最後まで読み込んだ人と、ページを開いたまま離席していた人。標準的な指標だけでは、この2人を見分けるのが難しいのです。

私たちはこの詰まりを、自社で運営するメディアの現場で何度も感じてきました。そこで、外部のサービスに頼らず、行動の"質"そのものを記録する仕組みを自分たちでつくることにしました。それが、今回ご紹介する行動分析トラッカー(社内では tracker.js と呼んでいます)です。

プロジェクト種別自社ツール開発(内製)
開発時期2026年
対象自社運営メディア(複数サイト)
技術スタックJavaScript(Vanilla) / localStorage / sessionStorage
計測する行動データスクロール深度・滞在時間・クリック・セッション内遷移の4種類

このページについて。クライアント案件ではなく、AsetZ自身がどんな姿勢でデータと向き合っているかを示す事例です。「データが強み」という言葉を、自分たちの手の動かし方で裏づけるための取り組みです。

THE REQUEST

現場から上がってきた、3つの「分からない」

きっかけは、派手な要望ではありませんでした。メディアを運営するなかで繰り返し出てきた、地味で切実な3つの「分からない」です。

01

数字の限界

ページビューとセッション数は分かる。でも、どこまで読まれたか・どんな順番で見られたかという「行動の質」が見えない。

02

コンテンツ評価の曖昧さ

「PVが多い=良い記事」で済ませてしまう。なぜ読まれているのか、読んだ後に何をしたのかが分からない。

03

導線の文脈が消える

どのページから入り、どこを経て、最後にどうなったのか(申し込んだのか、離れたのか)の一連の流れが追えない。

どれも「もっと指標を増やしたい」という話に見えます。けれど、指標を足すだけでは解けない。私たちはそう考えました。

THE REAL CHALLENGE

「指標が足りない」の奥にあった、本当の課題

「標準の指標だけでは足りない」という声を、そのまま受け取りませんでした。なぜ足りないと感じるのか、その先に何をしたいのかを掘り下げると、本当の課題が見えてきます。

表面的な困りごと 「標準の指標だけでは、行動の質が見えない」 なぜ、行動の質を知りたいのか? 本当にやりたいこと コンテンツの本当の価値を数字で評価し、「どこに手間とお金を かけるか」を自信を持って判断したい それを阻んでいるものは何か? 本質的なボトルネック 行動データを、自分たちの手元で集める仕組みがない スクロール ・ 滞在 ・ クリック ・ 遷移 を外部に頼らず持つ

つまり、足りなかったのは「指標」ではなく「自分たちでデータを持つ仕組み」でした。外部のアナリティクスツールは導入が手軽で便利です。そのうえで、自社にとって本当に大事なデータは自分たちの手元に残しておく。この選択肢を確保しておくことが、判断の土台になると考えました。

OUR APPROACH

ブラウザの中だけで完結する、軽い計測レイヤーをつくる

私たちが選んだのは、大がかりな基盤ではありません。ブラウザの中で動き、外部サーバーへデータを送らない、軽い計測レイヤー(tracker.js)です。集めたデータは、決まった入口から取り出せるようにし、後からの分析や持ち出しを自由にしました。

ブラウザ内で完結する3層構成

DATA COLLECTION(入力) ブラウザの操作を拾う スクロール ・ クリック ・ ページ移動/passive listener・200ms throttle・requestIdleCallback で軽く動かす PROCESSING(処理) 行動を意味のあるデータに変える スクロール深度:0–100%の連続値で記録し、25/50/75/100%の到達を検知 クリックの意味づけ:data-track 属性で、どのセクションの何を押したかを分類 セッション内の移動:URL・referrer・滞在開始/終了・滞在時間を時系列で記録 STORAGE & API(保存と取り出し) localStorage に保存し、決まった入口から取り出す 最大100セッション(1セッションあたり最大50ページ)まで保持。古いものは自動で消える 取り出し口:getSessions / clearSessions / exportJSON
01

スクロール深度とマイルストーン

「どこまで読まれたか」を0〜100%の連続値で記録します。さらに25%・50%・75%・100%の通過を別に検知するため、読了の分布まで分かります。

02

クリックの意味づけ

ただの「クリック数」ではなく、「どのセクションの、どの要素を、いつ押したか」を記録します。座標と時刻も一緒に残すので、ヒートマップのような分析の素地になります。

03

セッション内の移動

1回の訪問のなかで、どのページをどんな順で見たかを時系列で残します。入口(referrer)から滞在時間まで揃うため、行動の流れを一本の線として追えます。

同じ「滞在3分」でも、中身は違う

最後まで読み込んだ人 滞在3分 ・ スクロール 100% 100% 0% 時間 → 開いたまま放置していた人 滞在3分 ・ スクロール 20% 100% 0% 時間 →

標準的な指標では同じ「滞在3分」。スクロール深度を見ると、行動の質はまったく違います。

THE RESULTS

「行動の深さ」を、外に出さずに測れるようになった

この取り組みで、スクロール深度・滞在時間・クリック・遷移という4種類の行動データを、外部サーバーへ送ることなくブラウザの中で集められるようになりました。

4種類
スクロール/滞在/クリック/遷移
100
保持セッション(×50ページ/セッション)
0
外部送信(ブラウザ内で完結)

記録の仕様

データ種別セッション保持外部送信
4 types 100 sessions 0 requests
スクロール/滞在/クリック/遷移 ×50ページ/セッション ブラウザ内で完結

できるようになったこと

スクロール深度を、0〜100%の連続値+25%刻みの到達点で細かく把握できる
クリックを、どのセクションの何を押したか、セクション単位で記録できる
ページごとの滞在時間を、滞在開始・終了から正確に算出できる

この設計で守れたこと

外部サーバーへのデータ送信がゼロ。プライバシーに配慮した設計
決まった入口(getSessions / clearSessions / exportJSON)から自由に取り出して分析できる
passive listener・200ms throttle・requestIdleCallback で、表示速度への影響を最小限に

集めたデータの見え方(サンプル)

① スクロール深度の分布 25% 50% 75% 100% ② クリック先のセクション CTA 本文リンク 目次 関連記事 ③ セッション内のページ数 1 2 3 4 5+

注記:上記のチャートに表示する数値は、仕組みの見え方を示すためのサンプルです。実際の集計値ではありません。

KEY INSIGHTS

AsetZが大切にしている姿勢

この取り組みから、私たちが大切にしている姿勢が3つ見えてきました。

01

大事なデータは、自分たちの手元に持つ

外部のアナリティクスツールは便利です。導入も手軽で、私たちも活用しています。そのうえで、自社にとって本当に大事なデータは自分たちで持っておく。データの所有権を確保し、必要な指標を自分たちの判断で設計できる状態を残しておくことが、長く効いてきます。

02

プライバシーと計測精度は、両立できる

このトラッカーはデータをブラウザの中に保持し、外部サーバーへ送りません。サードパーティCookieの扱いが変わっていくなかで、ユーザーのプライバシーに配慮しながら精度の高い行動データを得る、一つの方向性を示せたと考えています。データの管理権はユーザー側にあり、ブラウザの設定でいつでも消すことができます。

03

まず生データ。分析は、その後で育てる

このトラッカーの今の役割は、「正確な生データを、確実に集めて残すこと」に絞っています。スコアリングや見せ方は、次の段階で積み上げていく方針です。最初から作り込むのではなく、まず正確なデータを貯め、その性質を理解してから分析のやり方を設計する。データに沿って手法を育てていく。この順番を、私たちは大切にしています。

このトラッカーは、サイト全体の行動データや資料の読まれ方を見える化していくための土台でもあります。「データが強み」を、自分たちの現場で実際に動く仕組みとして持っておく。その姿勢を、お客様のマーケティング体制づくりにもそのまま持ち込みます。

CONTACT

「ユーザーの本当の行動」を、一緒に見える化しませんか

数字は出ているのに判断できない。その詰まりには、たいてい「何を、どう測るか」という設計の課題が隠れています。

AsetZは、施策を代行するのではなく、お客様の事業成果につながるマーケティングの体制そのものを設計し、社内で自走できる状態まで伴走します。データ分析・基盤づくりを強みに、広告運用・SEO・LINE・LP制作なども一貫して支援しています。現状の課題や体制について、可能な範囲でお聞かせください。無理な営業はいたしませんので、まずはお気軽にお話ししましょう。

https://marketing.asetz.jp/